第三幕 諏訪湖の御神渡り


美ヶ原高原から諏訪湖へ向けて、山道を下りていくと濃い霧も段々晴れてきた!
少しホッとする。
霧の中を進んできたからこそ、目に見えることへの有難さをしみじみ感じる。
目に見えることも本当に大事なことだよな。


街並みが見えるふもとに降りてくると、
「湖の近くで遊んでいって」と言葉が響いてきた。

湖って、どこだ? 白樺湖か?
そんな思いもよぎったが、早く温泉に入りたかった私は諏訪湖畔に向かうことにした。


諏訪湖に近くなってくると、諏訪大社の看板がちらほらと目につく。

宿に到着!さっそくチェックインすると朝食付きで予約したつもりが素泊まりに。
「素泊まりであの値段だったのか!わかっていたら、予約しなかったのに…」
そんなことを思いながらもさっそく温泉に行くと、見事に吹き飛んでいった我が感情(笑)!

宿の6階にある露天風呂から、目の前に広がる諏訪湖を見たら、気持ちがこみあげてきた。
数年前に泊まりたいと思ってた諏訪湖の温泉宿はここだったんだ。
なんとなくバックにいる目に見えない存在たちの計らいを感じながら、夕やみに暮れていく諏訪湖畔を眺めていた。

ふと気になって、温泉の説明書きを読んでいると感覚が蘇る。
「そうだった。諏訪湖は、中央構造線とフォッサマグナの断層が交差するポイントだったんだ。」 

しかし、まだこのときは自分はただ温泉に入りに来たんだよ、とそのくらいに思っていた。
(確かにそうなんだけども)


夕食は、宿のすぐ向かいにある素敵な飲み屋さん。
不思議と宿を予約した時から、宿のすぐ近くで美味しく夕飯を食べられるお店があるという確信みたいなものがあった。
3種類の地酒をきき酒し、絶品のアジフライと特性の黒うどん、心配りの行き届いたスタッフさんのおもてなしで、ゆったりと穏やかな時間を過ごすことができ心が満たされる。
宿に戻ると、諏訪湖の近くにある神社が少しずつ気になりだした。

ロビーで手に取った散策マップを見ていると、「八剱神社(やつるぎじんじゃ)」が目から離れない。
さっそく調べてみると諏訪湖の御神渡り(おみわたり)を毎年確認し、代々記録を書き記してきた神社であることがわかった。なるほど。
御神渡りとは、諏訪湖が氷結して氷が数十センチ膨れ上がる現象が湖上をうねるように現れるもの。




そして、再び温泉へ。
露天風呂に入ると、諏訪湖の向こう側の夜景が綺麗に見えて、左頭上には満月前の綺麗な月がさんさんと輝いていた。
隣にいた同年齢位の男性が内風呂へ入っていくと、間もなく「コーヒーを飲んで」という声が唐突に心に響いてきた。

私はこんな感じで、心の内側を通して目に見えない存在と対話をしながら日常も過ごしているが今回は少し考えた。
「コーヒーって、どういう事よ?」 

すると目の前の諏訪湖が真っ黒に見えることに気がついた。
諏訪湖にハートから意識を合わせて。ということかと思い、スーッとハートに意識を合わせながら呼吸をしていく。

少しずつ、諏訪湖と意識が合わさっていくとエネルギーが大きく広がっているのを感覚的に捉え、宇宙、そして自分の意識も同じように広がっているのを感じた。
あまりにも美しく輝く月を見ては諏訪湖をじっと眺め、空に光る星々とも意識を合わせていた。

少しすると、内風呂に入っていた彼がまた露天風呂にやってきた。
さっきは話しかけれなかったから、今度は話しかけてみようと「本当に綺麗な景色ですね」と声をかけてみた。
しかし、彼から返ってきた言葉はこうだった。

「風が、急に止みましたね。」 

「え? あ、確かに風が止んでいる」

全く予期していなかった彼の返答に、心の中で不思議な感覚に包まれる。
確かにさっきまで、強めの風が吹いていた…。
自分の意識と自然が一体化した感覚を得ることが出来た瞬間。

諏訪湖から箱根に向かう霊ライン。精霊の動きを感じずにはいられなかった。


第四幕へつづく。

2019年04月06日