第六幕 富士の山を越え、通せんぼの光


諏訪インターから高速に乗り、しばらく車を走らせると空が曇り始めているのを感じていた。
両脇に見える景色をゆったら眺めながらドライブを楽しみ、甲府南インターでいったん高速を下りた。

ナビで選択すると、諏訪から強羅までは、河口湖と山中湖の方を通るルートを示していたが、反対側の朝霧高原を通っていくルートを運転してみたかったのだ。その道中、富士五湖の一つくらいは見れるかなと淡い期待も持ち合わせて。

甲府南インターから富士山へ向けては、なだらかな山道を抜けていくことになるのだが山道に入っていく手前で車を停めることにした。

そこには山キノコを売っているお店があったが、お店の反対側に自然と目が移っていった。
道路の向こう側に見えたのは、街の景色。
その景色を眺めていると、母方のおばあちゃんのことが思い出されてきた。
「おばあちゃんが生まれ育った場所は、こういうところだったんだろうな」と、少し感慨深げに景色を見ていた。

運転を再開し山道を進んで行くと、山々には濃い雲がかかり始めている。
山間を抜けてしばらく行くと、小さな湖が目の前に急に現れてきた。
初めて見る精進湖(しょうじんこ)。
湖を眺め運転を再開しようとした矢先、言葉が心に響いてきた。

「ここでもアクティビティがあるんですよ。」

「お!なんだそれ?」

どれどれ。さっと精進湖に視点を移すと、湖の反対側のあるポイントが目に入ってきた。
まるでググッとカメラのレンズで拡大されるかのように。

「よし、あそこだな」

すぐに車を反対方向に走らせ、先ほど見えたポイントの近くに駐車。
湖に触れられるくらいまで歩き、ゆっくり景色を眺めてみた。霧が薄く山々にかかっていて、辺りは静けさに包まれている。そんな場所で、自分の心にスーッと意識を合わせていく。

間もなく「日本は、仏教神国(しんこく)、聖カトリック」という言葉が響いてきた。
仏教神国、聖カトリックか。
なるほど。
いろいろな捉え方があって、それが混ざり合っていることがとてもいいことなんだろう。

もう少し意識を定めていくと、
「諏訪湖畔で自分の中で起きていたことを踏まえて。一つのことに偏らずに、多くのことが混ざり合うことが大切です」
その言葉たちが響いてきた。
湖が鏡となり、自分自身に必要なことを映し出してくれた。
そうか。
心の内側のアクティビティだったんだな。


精進湖へ感謝の思いを伝え、再びドライブを進めるとすぐに本栖湖(もとすこ)へ行きついた。
時間もあまりなかったが、寄り道をしていくことにした。

水際まで歩いていくか迷ったが、行って正解だった。
湖に向かって歩いていく途中から、美しい景色に見とれてしまうほど!精進湖とはまた違う雰囲気だ。



しばらく、湖面に映し出される綺麗な光を眺めていると、さらに心が落ち着いてきた。
周りの山々から感じる、何とも言えない心地よさや静けさから懐かしさを感じていた。
ずっとこの場所にいたいと思えるほど、穏やかだったのだ。

景色や雰囲気をじっくり堪能した後、再びドライブへ。
なだらかな山道を下りながら朝霧高原に入るも、富士山は見えなかった。
「富士山はやっぱり見えないか……」
でも見えないものは仕方がない。

気を取り直して、運転していると富士山の反対側に見える山々が目に入るようになってきた。
山に薄く霧がかかっていて、とても綺麗に見える。
富士山が見えていれば、きっとその山の綺麗な景色に気が付けなかったかもしれない。

そんなふうに思っていると、自然の細部に宿る息吹を感じることも今回の旅のテーマの一つかもしれない。

朝霧高原を抜けて富士宮を通り、富士のふもとを走り抜けていくと富士サファリパークの看板が見えてきた。
ここまで来たら、あともう少し!

御殿場を通り、箱根に入るころには辺りはすっかり暗くなっていた。
目的地の強羅に近くなると少しずつ山道にさしかかり、道はさらに急になり、それに加えて山間部なので辺りは真っ暗。

ナビが示すとおりに進んで行くも、
「本当にこんなところに宿があるのか?大丈夫か?」と、不安でたまらないくらいの細い道を辿り…
そしてようやく!その日の宿に着いたのであった(^^♪


最終幕へつづく。

2019年04月06日