「子どもが学校に行けないんですけど、どうしたらいいですか?」
個人カウンセリングにいらっしゃるクライアントさんから、このような相談をたまに受けます。
人によって、問題に対する解決策は異なりますが、共通する問題があるとすれば、「子ども側の問題はそんなに大きくない」といえます。
学校に行けない子どもについてのカウンセリングを今まで重ねてきて、私自身が捉えてきた要因を挙げるとしたら、まず以下の2つがあります。
一つは、学校に行けなくなる、もしくは、行かなくなる子どもの「感じ方が繊細」「共感性が高い」ということです。
もう一つは、簡潔に言うなら、個人にフォーカスする教育が本来は必要なのに、それが今の学校のスタイルではなかなか難しいということでしょうか。
ハイリー・センシティブ・パーソン
一つ目の要因に挙げた「共感性が高い」という要因。これは実際に、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という捉え方が一般的にもなっていますが、大人も含め多くの方が抱えている問題の一つでもあると思います。
HSPとは、英語では Highly Sensitive Person と書き、頭文字をとった略語です。
簡潔に言いますと、人よりも感性が鋭く、繊細で内的傾向があり、共感性が高い人のことをいいます。そのため、周りの人からの影響を受けやすく、とくに人がもっている気持ちや感情がネガティブ(苦しみや悩みなど)な場合、それらを自分のものとして感じてしまうことも多くあります。
弱みを強みに変えることもできる
しかし私は、自分の体験も踏まえて以下のようにも考えています。
「繊細」というと弱い感じがするかもしれませんが、感じ取る能力が人よりも強いと言えます。私の場合は、その強みを生かして、人の内側の情報を読み取ることにより、人体と意識の関係をここまで研究することができました。カウンセリングをするときも、その特質を大いに生かしています。
大切なのは、自分の特質をよく理解していくことです。そして、そのうえで解決策を模索していくことだと思います。人の内側にあるものは、これからの時代、ますます解き明かされていくと私は捉えています。
20代前半のころ、私は、自分が疲れやすく意識が弱いと、客観的に感じるようになりました。そして、30代になると、自分の内側を深く洞察するようになり、自分があんなに疲れていたのは、他の人のネガティブな感情や、ため込んだトラウマを自分の中に取り入れてしまっていたからだと確信するようになりました。
そして今では、人のエネルギーが入り込んできたときは、なるべく早い段階で自分の中から取り除くようにしています。私の場合、それをそのままにしておくと、身体が重くなり、ときにイライラして自分の仕事もままならなくなるため、上記の作業は今では必須になっています。
小学生のときの体験話
私が小学生だったときは、こんなこともありました。理由はよく覚えていませんが、とにかく学校に行きたくなかった私はあるとき、コタツの中に体温計を入れて高い熱があると母に訴え、学校をズル休みしようとしたことがありました。当時は、学校に行きたくない理由をはっきりわかっていませんでしたが、おそらく、人の感情を感じてしまうのが嫌だったのだと思います。
それでズル休みをした私は結局、どうなったのかというと、布団の中で歌を歌っているうちに声が大きくなってしまい、それが母親にバレて、「元気なら学校に行きなさい」と無理やり学校に連れていかれたのでした。(笑)
でも今の時代は事情が違う
当時は、学校に行くのが嫌でも「学校には行かないといけない」という考え方が当たり前だったように思います。だからこそ、私の体験も今では笑い話にできますが、今の時代の子どもたちは、学校に行きたくない場合、その意思をはっきりもっているかと思います。
そのため、子どもが学校に行くのを嫌がる場合、何とかして学校にいかせたいと思っている親御様にとっては、歯がゆく、つらい悩みの種になってしまうこともあるでしょう。
理由に寄り添う
私が今までカウンセリングをしてきた中で、共通してお伝えしてきたことがあるとすれば、それは「お子様たちが抱えている理由に寄り添うこと」です。
また、学校に行けない理由が明確にわからない場合もあると思います。その理由がわからなければわからないほど、親御様たちの不安も大きなものになるかもしれません。それでも、状況に合わせて、ふさわしい対応の仕方を探っていくことが大切かと思います。
解決策はさまざま
ここ最近のクライアントの方々の話を聞くと、民間のフリースクールや、自治体の中でも不登校の子どもたちが、学校とは違う場所で学べる施設が増えているようです。
不登校になって勉強についていけなくなったらどうしようかと、親として悩む方も多いかと思いますが、私は、クライアントさんに対して、よくこんなことをお伝えしてます。
今の子どもたちは、私たちが想像するよりももっと、物事の理解力や情報処理能力に優れている場合が多いです。また、自分の知りたいことを興味を持った時に、勉強できる時代でもあります、と。
子育てをしているときに、大人顔負けの言葉の使い方や理解力の速さに心底驚かれる方も多いかと思います。だからこそ、もし今、学校に子どもが行けないとしても、学校に行くことよりも、きっと他に体験する大切なことがあるからだろうと、私は個人的に思います。
「日本人の特性って本当に素晴らしいものがある」と、私は常々思っています。
スポーツを例にとってみると、サッカーや野球など、今では若い世代が驚くほどの才能を開いて、世界のトップレベルで活躍できるようになっています。十数年前では、一握りの選手だけだったように思います。
これからはもっと、内側に秘める才能を大きく開いていく方が増えていくでしょうし、それはスポーツに限ったことではありません。子育てや人との関係性の構築、仕事など、日常の何気ない事の中でも才能を発揮できます。人の悩みを察知して寄り添うこと、これも一つの才能です。
人の内側にある才能や特質が表に出てくるペースは人それぞれです。先着順でもないので、早くから何かをしなければなんて、焦る必要もありません。
遅咲きの子もいますし、大器晩成の方もいます。私自身、33歳でこの仕事を始めましたし、まさか自分がこんな仕事をするなんて、20代前半のころは思ってもみませんでした。
今日のポイント
今日のポイントを簡単にまとめます。
まずは、不登校になったとしても、その子の理由に寄り添っていくことが大切です。今の学校のスタイルに合わせていくことが難しい場合は、その子に合う勉強の進め方を探ることも大事です。今、学校に行けないとしても、その体験こそがご本人とご家族にとって大切な場合もあります。
一人ひとりの内側には、考えもつかないような才能が眠っていることがあります。それがいつ開かれるか、生かされるかは、それぞれの人生のペースがあるため、今、学校に行けないとしても焦らないことが大切です。
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今日の内容はいかがでしたか?
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